抗生物質が効かない多剤耐性菌アシネトバクターの院内感染による死亡例や、最強の抗生物質「カルバペネム」さえ効かないNDM-1遺伝子を持つ大腸菌の出現などの事例が相次いでいる。最近、薬剤の耐性情報を含む遺伝子を持つ耐性菌が別の細菌に接触すると、その遺伝子が伝達されて新たな耐性菌が生まれる仕組みがわかり、深刻な感染症が蔓延することが危惧されている。対策となる新たな抗生物質の開発が停滞する中、期待されているのが病院内で菌の拡散を可視化する「院内感染対策サーベイランス」だ。いま病院で何が起きているのか、対策はどこまで進んでいるのか迫る。
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