「火の玉流」と呼ばれる攻撃将棋で、現役最高齢74歳まで活躍した棋士・有吉道夫九段が、5月末に引退した。「棋聖(きせい)」を獲得し、史上8人しかいない1000勝も達成した名棋士だが、その記録以上に有吉さんが尊敬を集めているのは、老いても衰えぬ情熱だった。「頭脳の格闘技」と呼ばれ、一局で体重が5キロ減少するとも言われる将棋。体力・気力の衰えから50代で引退する棋士が多いなか、有吉さんは61歳までA級に在籍。A級陥落後も、全棋士の棋譜を集めて最新戦型の研究に没頭。C級陥落後は、孫ほど離れた若手を幾度も蹴散らした。「生涯現役」を貫くには何が必要なのか、有吉さんの引退までの日々を追う。
みんなのコメント