大きな期待を受けて1年前に当選したオバマ大統領。“チェンジ”を掲げ、核廃絶を謳ったり、国際協調路線へと踏み出すなど、ブッシュ前政権との相違を際立たせている。しかし、このチェンジが同時に、政権の支持率低下をも招く事態が起きている。その一つが医療保険改革、オバマ大統領が最大の課題と位置づけるものだ。クリントン政権時代にも検討され、挫折したこの改革に対して、「国民皆保険は社会主義者の発想だ」と共和党や保険業界からの猛烈な攻勢を受け、支持離れも起こしている。更に“間違った戦争”=イラク戦争からアフガニスタンでの戦いへとシフトする政策も不評だ。最大で4万人の米軍増派を求める軍に対して、国民の支持は低い。あの劇的なシカゴでの勝利演説から1年。支持率が50%前半まで落ち込んだオバマ政権は、厳しい試練のときを迎えている。その試練はなぜ起きたのか。オバマ政権の政策がアメリカ社会に及ぼしている深層を見ていく。
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