エジプト古代文明の遺跡が沈むアレクサンドリア沖、17世紀に海運業で栄えながら大地震で沈んだカリブ海の港町。さらにはスペインがイギリスに宣戦布告し、ナポレオン戦争のきっかけとなった帆船「メルセデス号」の沈没船など、世界の海には、地上の文化遺産に匹敵する歴史的価値の高いものが数多く眠っている。沈没船だけでも世界に300万隻もあるとも言われている。そうした沈没船や”水中文化遺産”を引き上げ、一攫千金を狙う”トレジャーハンター”たちが世界各地で活動。引き上げた財宝の所有権をめぐって訴訟も起きている。こうした問題に対処するのが「水中文化遺産保護条約」。今年1月、20カ国以上の批准を得て、ようやく発効した。水中文化遺産の商業目的での使用を禁止し、沿岸国に強い権限を認めている。しかし、高度な海洋探査の技術を持つサルベージ会社や欧米諸国など、主要な沿岸国 は、条約の批准に消極的だ。水中文化遺産を取り巻く現実を追い、歴史ロマンに誘う水中文化財の保護のあり方を考える。
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