100万人を動員し、いまも地方巡業中の「阿修羅展」。仏像に熱中する”仏像女子”なども登場し、いまかつてないほど”仏像ブーム”が過熱化している。しかしそのかげで、深刻な事態も起きている。全国各地で仏像の盗難事件が相次いでいるのだ。京都最古の禅寺・建仁寺や、世界遺産の東寺など著名な仏閣がターゲットになっただけでなく、地方の人々が長年信仰の対象にしてきた仏像も次々に被害に遭っているのだ。盗難のルートをたどると、日本の仏像を高値で取引する闇のマーケットや、国内外の窃盗団の存在が浮かび上がってきた。国宝級の仏像が集まる奈良県では、警察に全国で初の「文化財保安官」が仏像の盗難対策に乗りだした。かつてない勢いで増える「仏像盗難」、その背景をルポし、地域社会や日本人の「仏(ほとけ)」に対する意識の変容を見つめる。
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