2013年以降の地球温暖化対策の枠組みを決めるCOP15の前哨戦となる国際会議がドイツで行われた。温室効果ガスの排出量を2050年までに世界で少なくとも50%削減(90年比)するという長期目標は既に共有されている。しかし、2020年までの中期目標については、進展は見られなかった。日本国内でも2005年比-15%という目標を決める過程で産業界と環境保護団体などが真っ向から衝突したが、国際会議では、より大幅な削減数値を求める発展途上国と中国やインドなど新興国の参加を求める先進国の間で議論は平行線を辿ったままだ。中期目標の交渉が難しいのは、目標設定が国際政治上のパワーバランスを揺るがす可能性があるからだ。CO2の削減はエネルギーの安全保障や経済成長に直接影響し、産業構造やライフスタイルの大転換も不可欠とされる。中期目標の設定を巡る国内の議論と国際交渉の舞台裏に密着し、12月のCOP15に向けた日本の戦略を考える。
みんなのコメント