去年4月、がん対策基本法が施行されてから一年。しかし、目標とされた患者本位の情報提供はまだ十分とは言えない。そんな中、がん患者が自らの経験を映像と音声で語り、ネット上で公開するという動きが始まっている。病院選びや、不安との向き合い方、さらには医師が軽視する後遺症への対処や日常生活の工夫など、体験者だからこそ語ることのできる言葉が、他の患者の大きな支えとなることがわかってきた。イギリスでは国の支援のもと7年前からデータベース化が始まり、今では1500人の患者のインタビューがネット上で公開されている。患者の本音を聞く機会の少ない医学生らの教育にも使われるなど、不可欠のシステムとなっている。患者の“語り”は医療をどのように変えるのか。日本の現状と先行するイギリスの例を参考にしながら考える。
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