政治・経済の統合を深化させながら、27カ国・5億人まで拡大を続け、世界の一極として台頭してきたEU。そのEUが、人口わずか430万の小さな国の決定をめぐって、いま大きく揺れている。6月12日、アイルランドで行われたEUの基本条約「リスボン条約」に対する国民投票で、条約の批准にNOを突きつける事態となったのだ。「リスボン条約」は、拡大を続けるEUをより効率的に運営するとともに、政治面での統合をさらに進め、EUの大統領や外相にあたるポストを創設することが盛り込まれている。しかし、これまで全会一致だった意志決定を多数決に変えるなど、中小国からは”大国の専横”だという批判があがっている。いま、アイルランドの”否決”をきっかけに、ポーランドなども批准しない方針を示し始めるなど、EUは拡大と統合に大きなブレーキがかかる危機に直面している。EU統合への課題とその行方を浮き彫りにする。
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