世界の屋根ヒマラヤで、地球温暖化による氷河の縮小が急激に進んでいる。IPCCは「2035年までにヒマラヤの氷河の80%が消失する」と予測。山岳氷河が融けてできた氷河湖の決壊洪水が頻発すると警告している。今年5月、慶応大学の研究チームが、エベレスト山麓の決壊寸前の氷河湖イムジャ・ツォを訪れ、宇宙衛星と標高5000mの地上から氷河湖を観測する世界初の警報システムの構築を目指した。番組では、調査に同行して氷河湖の最新の状況を伝えるとともに、決壊被害の精緻なシミュレーションを行う。さらに、ヒマラヤ山脈は長江など7つの大河の源流であり、アジアの水がめの役割を果たしている。将来、氷河が消失すると、インダス川などで河川の流量が大幅に減少し、下流の水資源に大打撃が及ぶと研究者は指摘する。目前に迫る決壊洪水、そして将来の水不足。温暖化がヒマラヤ山麓と下流のアジアの人々の暮らしに及ぼす重大な危機について考えていく。
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