地球規模の課題となっている食糧危機、主な原因の一つが水危機だ。シリーズ2回目は、農業用水をどう確保するのか、世界の取り組みを追う。世界有数の農業国・オーストラリア政府は、4年前の干ばつを契機に限られた水を効率的に再配分するため、農家同士で川の水利権を取引する「水市場」を促進した。その結果、大規模農家が高額な水利権を購入し高価な農産物を生産する一方で、小規模農家の離農が相次いでいる。スペインでは、逆浸透膜という日本の企業が開発した最新技術で海水の淡水化プラントを造り灌漑用水を確保してきた。しかし、プラントの稼動には大量の電気を使うため、地元の石炭火力発電所のCO2排出量が増加するという皮肉な事態を招いている。食糧生産に欠かせない水をどう確保するか、最前線を追う。
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