この春、ジュネーブの国際モーターショーに東北の小さな工場が試作した超軽量のスポーツカーが出展された。開発を指揮したのは、ポルシェやフェラーリのデザイナーとして世界的に知られる奥山清行氏。山形に帰郷後、地方から世界ブランドを生み出そうと動き出している。地方の地場産業には高い技術があり、その技を結集させれば必ず世界に通用すると考える奥山さん。キーワードは「東京を経由せず直接世界とつながろう」。高い技術に奥山さんのデザイン力を加え、感性に訴える商品を開発して世界の檜舞台で勝負する。奥山氏は「山形カロッツェリア研究会」を組織、地場産業の製品を直接世界の見本市で売り込むシステムを構築した。今回は岩手県一関の工場と組んで、ボディにカーボンとアルミを使用し一切塗装を施さない、素材むき出しのスポーツカーを開発、話題を集めた。東北で始まった地場産業の新たな動きを追いながら、日本の中小企業には何が足りないのか、どんな戦略が必要なのかを探っていく。
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