グローバルな人材獲得競争の最前線を追うシリーズの2日目は、人材を輩出する側の大学に焦点をあてる。今世界の大企業が最も注目する大学のひとつが、中国の理系最高峰、北京の清華大学だ。訪れたものをまず驚かせるのが、充実した実験などの設備。企業から多額の寄付を引き出し、人材育成に欠かせない高度な機器の購入や施設の建設を次々行っている。協力企業とは共同の開発センターを作り、実際の新製品開発も行う。「清華方式」とも呼ばれる、世界の企業を取り込んだヒトとカネのネットワークを操りレベルアップを続けるシステムが、中国政府の強いあとおしのもとで作り上げられている。一方、日本の大学は大きく遅れをとっている。独立行政法人化したあとも、資金不足は相変わらずで、企業との協力関係による研究・教育環境の整備は、中国に及ぶべくもない。東京工業大学などで始まった新たな取り組みなども追い、清華大学とも対比させながら、日本の課題を明らかにしていく。
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