今、アジアの空で、旅客機のパイロットを巡る争奪戦が加熱している。経済成長著しい中国やインドを中心に航空需要が爆発的に拡大。航空各社は一人でも多くのパイロットを確保しようと、国境を越えた引き抜き合戦を繰り広げている。パイロットの”多国籍化”が進む中、パイロット同士や管制官とのコミュニケーションがうまくいかず、空の安全を脅かしかねない事態も起きている。こうしたパイロット不足は、団塊世代の大量退職時代を迎えた日本の航空会社にも影響を与えている。3年後、羽田空港の発着枠が増え、ますますパイロット需要が高まるにも拘わらず、各社とも養成が追いついていないのが現実だ。60歳だった年齢制限を65歳にまで引き上げたり、採用資格を高卒や既卒者にも広げたりするなど対策に追われている。パイロット不足が深刻化する中、私たち利用者の利便性と安全性をどう確保していくのか。アジアと日本の”争奪戦”の現場に密着する。
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