熱帯のジャングル、絶海の火山島、そして深海まで、人間の住まない極限環境に分け入り、宝探しを行っている人々がいる。彼らが探すのは未知なる微生物。医薬品などの製品の開発に結びつく微生物を発見できれば、莫大な利益を上げることができるからだ。ゲノム科学で欧米に遅れをとった日本は、国家プロジェクトとして微生物の確保に乗り出した。しかしその前に立ちはだかるのは、生物資源に対する主権が資源国にあると定めた「生物多様性条約」だ。今、微生物を利用した製品からの利益配分をめぐって、先進国と資源国との間で対立が深まっている。国際的なせめぎ合いの中で、日本は勝ち残ることができるのか。微生物獲得競争の最前線を追う。
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