ひき逃げ事件が急増している。平成16年の発生件数はおよそ2万件。5年前の2倍以上だ。背景にあると指摘されているのが飲酒運転の厳罰化。死亡事故の場合、従来の業務上過失致死罪では最高で懲役5年だったが、新設された危険運転致死罪では懲役20年に引き上げられた。法改正は交通事故に対する抑止効果をあげている一方で、厳罰を恐れる加害者によるひき逃げ事件が増えていると見られているのだ。ひき逃げ後に逮捕された被告の裁判ではもうひとつの問題も指摘されている。酔いが覚めた後の取り調べでは事故当時の正確なアルコール量を特定できないため、危険運転致死傷罪による厳罰に問えず、「逃げ得」とも言える事例が相次いでいるのだ。ひき逃げ事件を関係者の証言で追うとともに、NHKが行った交通刑務所の受刑者アンケートも交え、事件急増の背景を検証する。
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