南米で「民主化ドミノ」ならぬ「左傾化ドミノ」が急速に広がっている。アメリカの政策に批判的な左派政権が登場した国は、すでに南米12カ国中、6カ国。その背景には90年代に実施された急激な経済改革に対する不満がある。アメリカの主導で進められてきた市場の自由化や規制緩和、民営化政策が貧富の差を拡大させる一方で、外国企業を潤してきたと南米の人々は反発している。親米政権が続いてきたボリビアでも今年1月、対米強硬政策を掲げるモラーレス政権が誕生。ボリビア国民の半数以上を占める先住民族出身の初めての大統領としても注目されている。天然ガスの国有化を打ち出したモラーレス大統領の政策は、エネルギー需要急増の中、原油やガスなど天然資源を武器にアメリカとの対決姿勢を強めるベネズエラのチャベス大統領の政策とも重なり、アメリカのブッシュ政権は危機感を強めている。チャベス、モラーレス両大統領との連帯を表明する左派候補が躍進するペルー大統領選挙(4月9日投票)を機に、南米で起きる政治の地殻変動を追う。
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