年間25兆円を誇る外食産業が今、激変している。すさまじい勢いで寡占化が進んでいるのだ。10年前、飲食店は上場企業による資本参加率は24%だったが、今や半数以上が大手資本となっている。背景には、多額の自己資金にものをいわせたマネーゲームがある。株式市場や投資ファンドの活用による資金調達がしやすくなったことも追い風だ。今、大手外食の経営者たちは規模拡大のためにM&Aを手がける専門チームを持ち、日々買収先の情報を集め、シミュレーションを繰り返している。「居酒屋甘太郎」を経営し、M&Aで全国に出店攻勢をかけるコロワイド社は、自分たちにない業態や物流の仕組み、スケールメリットの活かし方などを厳密に分析し、すさまじい勢いで買収し続けている。かたや、自ら不動産を探しあてながら敵陣に乗り込むワタミ社は、飽和状態の都心を横目に地方戦略で拡大路線を推し進めている。それぞれの緻密に練られた戦略で事業を拡大していく現場を現在進行形で追い、大手寡占化による行き着く先を見る。
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