西武鉄道、カネボウなど、虚偽の報告によって上場廃止に追い込まれる企業が相次ぐ中、国と業界が企業の情報開示に取り組み始めた。食中毒事件など一連の不祥事で、存亡の危機に直面した雪印乳業は外部から招いた取締役を中心に品質表示等委員会を新設、イメージ先行の商品表示を正確な表示に見直す作業を進めている。テルモは自社にとって不利益なリスク情報の開示に踏み切った。金融庁もアメリカに準じた情報開示を法律で義務づける方針を打ち出すなど、新たなルールづくりが始まっている。背景には、1400兆円と言われる個人貯蓄を投資に振り向けるため、市場の透明性を高めたいという思惑がある。しかし、これまで株式の持ち合いに依存してきた日本企業には、アメリカ並みの情報開示には強い抵抗がある。なぜ今、情報開示なのか、変わり始めた企業風土とその背景を探る。
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