大型貨物船の思わぬ「土産物」が海の生態系を破壊している。
タンカーが空荷の時バランスを保つために載せる海水「バラスト水」の中には、大量の微生物や貝類などが含まれており、到着先で積み荷の代わりに放出されると爆発的な増殖を始める。アメリカミシガン湖では、ヨーロッパ船が運んできたゼブラ貝が大繁殖、水道の取水口を詰まらせ、病院や学校が閉鎖されるなど、大きな被害が出た。「世界一美しい海」オーストラリアのタスマニア島で大繁殖したマヒトデは、DNA鑑定の結果、東京湾、駿河湾のものと一致。逆に東京湾でも、外来のフジツボやホヤ類が繁殖している。海運会社は、バラスト水を出し入れする際に生物を殺傷する技術を開発、また国際海事機関は無節制な排出を禁止する条約を策定しようとしている。
ようやく始まった対策とともに、生態系破壊の実態を潜水取材で描く。
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