イスラエルがヨルダン川西岸で進めている総延長680キロに及ぶ「壁」の建設が大きな波紋を呼んでいる。シャロン首相は「自爆テロ犯の侵入を防ぐため」としているが、壁は随所で西岸の奥深くに食い込む形になっていて、ユダヤ人入植地を守る目的もあると言われる。
強制収容によって多くのパレスチナ人が土地を失っただけでなく、町を分断する形での壁の建設は、住民の移動の自由を奪う。最大で高さ8mの壁のわずかな隙間を抜けて通勤や通学を続ける住民たち。壁建設は国際社会からも強く非難されているが、イスラエル側は「テロの封じ込めには物理的隔離しかない」と正当化している。
オスロ合意から10年、双方の根深い不信を象徴する「壁」をめぐる現状をイスラエル、パレスチナ双方でルポする。
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