昨年末、救急医療に携わる救急救命士(国家資格を持った救急隊員)が、医師にしか許されていない医療行為「気管内挿管」を、違法と知りながら現場で日常的に行っていた例が全国で相次いで発覚した。
交通事故や心臓発作などで心肺停止に陥る人は、年間およそ8万5000人。しかし社会復帰率は0.97%と、欧米に比べかなり低い上、救命士制度ができた10年前(0.97%)と同じ水準にとどまっている。
問題となった気管内挿管は「何とか救命率を上げたい」と現場の判断で行われていた。その後、厚生労働省の指導で違法行為は一掃されたが、現場からは救急救命士が行うことのできる医療行為の範囲を見直すべきだとの議論が巻き起こっている。
違法行為の発覚をきっかけに浮かび上がった救急医療の課題を検証する。
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