NHK杯全国中学校放送コンテスト

第40回 決勝・コンテストリポート

アナウンス部門・最優秀賞

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葛飾区立金町中学校(東京)
井澤羽琉さん(3年)

最優秀賞の発表で自分の名前が呼ばれた瞬間、頭がどうしても追いつかなくて、こういう時って思考が止まるんだなと思いました。努力が報われてとても幸せな気持ちです。喜びでいっぱいでした。
友達がハンカチを忘れて、手を洗った後、水滴を飛ばして手を乾かすんですよ。僕は水滴に当たったことがあり、その出来事が原稿制作のきっかけです。顧問の先生にも意見をいただきながら、ハンカチを忘れた時の状況を知らない方にわかりやすく伝えることを重視しました。
アナウンスはただ読むだけではなくて、人に届けることが大切なので、練習の上でそれを常に意識して頑張りました。
僕は、読むスピードが速くなったりしてしまったけれど、他の出場者の人たちはしっかり落ち着いて読んでいて、僕もまだまだ上手にならないと、と思いました。他校の皆さんの発表を聞いて、感情の入れ方や読み方のスピードの調整、緩急の付け方もとても勉強になりました。
今回最優秀賞をいただき、「将来、放送関係の仕事に就きたい」とより強く思うようになりました。行きたい高校に放送部があるので、絶対に入部して、映像制作についても見聞を広めながら、しっかりといろんなことを学んでいきたいと思っています。

朗読部門・最優秀賞

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高田中学校(三重)
池中あおいさん(3年)

結果を聞いた瞬間「え、私でいいの!?」と思いました。いまだに信じられない気持ちです。
ふだんは放送部の仲間30人くらいで発声練習をし、お互いにコツを教え合っています。Nコンの朗読に向けた練習では、毎回、声の高さや読む速さを微調整していました。最初は、鼻濁音が強すぎることや緊張でナチュラルに読めないことが課題でした。感覚に頼っているので言葉で表すのが難しいのですが、声を無理に出すと不自然に聞こえてしまうので、自分に合った声で、なおかつ登場人物の気持ちを考え、なりきるようにしました。全部で10回ほど録音し、まだ不自然な感じを克服できずにいたのですが、ちょっと疲れていた状態のときに録ったら奇跡的にとてもいいものが録れたんです。
決勝当日は、他の学校の皆さんの朗読を聞けて勉強になりました。私は声が低く、喉を使って高い声を出すような、例えば女性の悲痛な声などはなかなかうまく表現できないので参考になりました。たっぷり間をとって読んでいる方が多いことも印象的でした。
これからも朗読を続けていき、いつも一緒に練習している高校の先輩方の背中を追って、いつかは追い抜けるように頑張りたいです。そして、この声をいかせる職業に就けたらなと思います。

ラジオ番組部門・最優秀賞

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広島市立牛田中学校(広島)
作品「掃除の時間」
代表:中野歩実さん(2年)

最優秀賞を取ったことは、いまだに実感がないくらいとてもうれしいです。
この作品は、ドキュメンタリーとドラマを組み合わせて表現することにこだわっています。また、部員全員が作品に関わることも大切にしました。今回出演したのは2〜3年生が中心ですが、全体では13人いて、みんながそれぞれに役割を担っています。
「掃除をやらされているように思う」と言う生徒と「掃除はやらなければいけない」と言う先生がいて、どうしても立場が違います。掃除が身近なテーマだからこそ、ただ「掃除を頑張りましょう」という結論にはしたくない。でも、学校の掃除を否定するのも違う。最後をどうまとめるか、時間をかけて工夫しました。
他校の作品では、三重県の桜丘中学校の「不登校を乗り越えて」という作品が印象に残っています。5年間不登校だった生徒と、不登校のきっかけを作った先生がコミュニケーションを取っていて、それで番組を成立させるなんてすごいです。この作品を聞いて、私たちも積極的に取材をしていきたいなと思いました。
日々アンテナを張って、小さな気づきや疑問を大切にして、これからの番組制作につなげていきたいです。4部門、全て最優秀賞を取れるよう頑張ります!

テレビ番組部門・最優秀賞

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日本大学豊山女子中学校(東京)
作品「ヘルメンツ 増やすメンツ」
代表:ラムリ絵蓮さん(3年)、鈴木愛莉さん(2年)、芝田華音さん(1年)

ラムリ絵蓮さん:この「ヘルメンツ 増やすメンツ」というタイトルは、ある日突然バッと思いついたんです。顧問の先生が日ごろからよく親父ギャグを言っているからかもしれません(笑)。私は主に編集を担当しました。本当は学校にいる時間に編集作業を全部終わらせたかったけれど、いつも時間がギリギリになってしまい、家にパソコンを持ち帰って夜まで頑張りました。決勝当日は、発表順がトップバッターだったので恥ずかしい気持ちがありました。他の学校の作品では、テレビ番組部門最後の「『どうして?』南中の七不思議」(福島・いわき市立中央台南中学校)という番組が心に残っています。編集技術が高く、私もこのくらい頑張れたら良かったなって、ちょっと悲しくなりました。すごく面白くて、七つ目の不思議について気になったので、制作した方たちに直接聞きに行きました。優勝は夢のまた夢という感じで、まさか自分たちが受賞できるとは思っていなかったので、発表されたときすごく驚きました。今回はわちゃわちゃとした作品ができましたが、来年は高校生なので、真面目な動画をみんなで楽しく作りたいと思っています。

鈴木愛莉さん:何もないところから話題を見つけ、どんなことをやりたいかみんなで話し合って、周りに助言をいただきながら進めていきました。都大会は切羽詰まっていて台本作りにミスがあったのですが、全国大会では絶対ミスできません。部活の時間をオーバーしながら、みんなで必死に頑張りました。去年は全国大会で優秀賞だったので、今年は絶対に最優秀賞を取りたいと思っていたんです。でも他の作品を見たとき、どこも技術が高すぎて、優勝は無理だなと思ってしまいました。だから結果発表の瞬間は、静かにしなきゃいけないことをつい忘れてしまうくらいうれしかったです。他の作品では、特に「桜は咲いている」(福岡・田川市立田川東中学校)という作品が印象的でした。こちらが、ただ観るのではなく、やぶさめの練習にはげむ主人公に感情移入して泣いてしまうような、心から「頑張って」と思えるような作品でした。来年からは中学の最高学年としてリーダーシップをつけ、みんなで協力することを大事にして頑張りたいです。

芝田華音さん:1年生で全国大会優勝という経験ができたのは、先輩方のおかげでもあるので、とてもありがたい気持ちです。そして何より、うれしかったです。私はお芝居とナレーションを担当しました。一度、一通り録音した後に空調の音が入っていることに気づいたというトラブルがあって、2回も3回も撮り直したのですが、それもいい経験だったなと思います。私も鈴木先輩と同じで、「桜は咲いている」という番組が心に残っています。私たちはみんなで楽しく演技しましたが、この作品はヴィクトリアさん1人に感情移入することができます。さらに、1人の登場人物から話題が広がっていくところもすごいなと思って、尊敬の気持ちで見ていました。今回は一番下の学年で、引っ張って助けていただきました。来年は2年生になり、自分に後輩ができるので、今の2年生の先輩方みたいになりたいと思っています。