過去の主な放送

国際共同制作シリーズ
スペースシップアースの未来(全4回)

初回放送
BS1 第1回 2013年11月29日(金)午後9時~
第2回 2013年12月6日(金)午後9時~
第3回 2014年1月17日(金)午後9時~
第4回 2014年1月24日(金)午後9時~

番組データ

  • 制作年:2013年
  • 国際共同制作:NHK/NEP/Primitive Entertainment

国際共同制作シリーズ スペースシップ アースの未来(全4回) 写真

スペースシップアースの未来 独自ウェブサイトへ

概要

50年前、アメリカの思想家が地球を「スペースシップアース(宇宙船地球号)」と呼び、人類はそこに乗り合わせた“運命共同体”であると考えました。東日本大震災で浮き彫りとなったエネルギー大量消費の問題、枯渇に向かうといわれる化石燃料、加速する地球温暖化…。地球規模の問題が次々と浮上する現代、「スペースシップアース」という考え方は、改めて意味を持ち始めています。

シリーズでは地球を宇宙船に見立て、内部を3つに分けて検証します。人間が暮らす「客室」、化石燃料が貯蔵されている「燃料タンク」、水・大気・生物の部屋「客室維持装置」です。そこから見えてくるのは、46億年かけて生み出された食物連鎖などの地球システムが、産業革命以降のわずか250年で壊されようとしている実態です。人口の増加に伴う都市の過密化によって、エネルギー消費量は50倍に急増しました。「客室」は異様に膨張し、「燃料タンク」や「客室維持装置」を破壊しようとしているのです。人類はスペースシップアースであとどれくらい航海を続けていけるのでしょうか?

危機にひんする地球号の最新状況を世界各地で取材。地球号の過去、現在、そして未来を識者たちと共に考えます。

番組ナビゲーター ウィノナ・ライダー (女優)

10代のころから多くの映画に出演。アカデミー賞に2度ノミネートされるなど、実力派女優として知られる。
今回、国際共同制作シリーズ「スペースシップアースの未来」で初の番組ナビゲーターを務める。

〜ウィノナ・ライダーからのメッセージ〜
私自身、未来のために正しい選択をしたいと思いながらも、どこから始めればいいのかわかりませんでした。今回、番組に参加したことで、そのヒントを見つけられたと思っています。
この番組を見て、「地球は滅びてしまうのでは?」と感じる方もいるかもしれませんが、私が本当にお伝えしたいのは、未来へ向けた選択肢は残されているということです。
一人ひとりの選択が地球の未来を決めるのです。

どうぞご覧ください。地球という船に乗り合わせていることを実感していただけるはずです。

主な出演作:「ビートルジュース」(1988)、「シザーハンズ」「恋する人魚たち」(1990)、「エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事」(1993)、「若草物語」(1994)、「17歳のカルテ」(1999)、「スタートレック」(2009)、「ブラックスワン」(2010)、「パラノイド・シンドローム」(2013)、ほか多数。

番組ナビゲーター:ウィノナ・ライダー

第1回 止まらない「客室」の膨張

70億を突破した人口が都市に集中! 資源を大量消費して「客室」の膨張は続く・・・

宇宙物理学者の松井孝典(まつい たかふみ)博士によると、今からおよそ一万年前、人間が“農耕”を始めたとき、スペースシップアースに「客室」が誕生。産業革命で一気に膨張を開始したといいます。石炭・石油などの化石燃料を使って生産力を向上させ、交通機関を発達させたことで、自然の制約を打破し、欲しいものを欲望のままに手に入れられるようになったのです。以来250年、「客室」は膨張を続けています。
BRICs諸国のひとつ、南米ブラジルはこの10年で経済が急成長。人口の5分の1にあたる4000万人が都市部に流入しています。豊かになった人々が競って手に入れるのが、電化製品です。増加の一途をたどる電力需要をまかなうため、次々とダムが建設され、総面積にして東京都の5倍の熱帯雨林が消失しました。
「拡大を続ける文明は崩壊する」。文化人類学者ジャレド・ダイアモンドは、かつて滅びた文明と同様に、このままだと現代文明も同じ道をたどると警鐘を鳴らしています。第一回では、どのように「客室」が誕生し、膨張を開始したのかをひもとき、その先に待ち受ける運命について考えます。

止まらない「客室」の膨張

第2回 「燃料タンク」は枯渇する

3億年かけてできた資源が、わずか250年で取り尽くされようとしている

「客室」の誕生以来、私たちは石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を恐るべきスピードで消費しています。しかし、それらはすべて限りある資源です。シリーズ第2回では「エネルギーの将来」を、この問題の世界的権威ダニエル・ヤーギン博士と共に考えます。
いずれ枯渇するといわれる既存の化石燃料、そして先行きに疑問が投げかけられている原子力発電。世界では今、新たなエネルギー獲得に向け、各国がし烈な戦いを繰り広げています。シェールガス開発に奔走するアメリカをはじめ、カナダの「オイルサンド」やブラジルの「深海油田」…。こうした燃料争奪戦が深刻な環境破壊も生み出し始めている事例もあります。
第2回では、世界有数の国際石油資本の将来戦略を検証します。彼らが50年後を見据えて発表した「エネルギー予想図」からは、化石燃料の供給不足に備え、太陽エネルギーやバイオ燃料といった再生可能エネルギーで需要を満たそうと模索する姿が垣間見えてきました。スペースシップアースの「燃料タンク」の将来を見つめます。

「燃料タンク」は枯渇する!?

第3回 「客室維持装置」に異常あり

もう後戻りできない!? 加速する地球温暖化

「客室」の膨張が始まって250年。7倍に増加した人口が都市部に集中し、化石燃料の消費量は50倍に増加しました。私たちが大量に排出する二酸化炭素によって、水・大気・生物が存在する「客室維持装置」にも異常が起きています。
北極圏にあるグリーンランドでは、他の地域と比べ、2倍の速さで温暖化が進んでいます。研究者が着目する異変のひとつが、氷にできた黒い穴です。気温の上昇で氷中のバクテリアが活発化し、氷を黒く汚したことで太陽熱をより多く吸収。融解の速度を速めています。アラスカでは永久凍土がとけ始め、大量のメタンガスが発生しています。二酸化炭素の20倍の温室効果があるメタンガスは、2億5000万年前、地球の急激な温暖化を引き起こし、動植物の大量絶滅をもたらしました。
科学者たちの間では今、「ジオエンジニアリング」と呼ばれる、さらなる温暖化を人工的に防ぐための方法が研究されています。海水を空中にまいて雲を作ることで太陽光を遮ったり、発生したCO2を吸収したりするなど手法はさまざまです。絵空事のようですが、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)でも、温暖化対策にジオエンジニアリングを取り入れる議論が始まっています。第3回では、悲鳴を上げる地球環境について報告します。

「客室維持装置」に異常あり

第4回 未来への海図を探る

“人類の未来”のために、今、私たちができることは何なのか?

肥大し、いびつになっているスペースシップアースの「客室」。世界の有識者たちが提案しているのが一極集中型の巨大都市文明から、分散・自立型社会への転換という客室のモデルチェンジです。エネルギーや食料などをコンパクトな規模の社会で自立させながら共存するのが新しい社会像だといいます。それぞれの社会が自給自足を実現させることによって、それまで食料や物資を輸送するために消費されてきた化石燃料も数十パーセント減少させることが期待できます。
しかし、分散型社会が実現しても、個々の社会のエネルギー消費が増えてしまえば、結局は全体の消費量が増え、環境への負担を減らすことはできません。
「膨張しない社会」「持続可能な社会」を目指すためには…。
答えの糸口は私たちの身近なところに見つかりそうです。イギリス、ドイツ、アメリカで新しい社会モデルを実践している町を訪ねます。
最終回では、地球の今と人類の未来のために、「私たちがするべきことは何か」を考えます。

未来への海図を探る

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