スチュアート・サトクリフがビートルズを脱退した直後。こんな会話が交わされた。
「ベースを僕にやらせてくれないかな」
「ごめん。ポールがベースを買っちゃったんだ」
ジョン・レノンに参加を断られたのは、クラウス・フォアマン。初期のビートルズがハンブルグで活動していたとき、観客として、友人としていつもそばにいた人物である。

クラウスは初めてビートルズの演奏を聴いたときから彼らの音楽に夢中になったと語り、一方、ポールたちも当時グラフィックデザインの学校に通っていたクラウスの芸術家風ファッションに憧れたという。その後もビートルズのメンバーは、忙しいスケジュールの合間を縫ってクラウスとの交流を続けた。やがて、商業デザイナーとなったクラウスはロンドンに移り、ジョージやリンゴと同居するようになる。彼はヴォーグ誌のためにモデルのツィッギーと仕事をするなどの活躍をするが、ベーシストとしても引く手あまたとなり、ロックバンド「マンフレッド・マン」で多くのヒット曲に携わる。その後アメリカに渡り、ジョージ、リンゴのソロアルバムや、ジョンの「ザ・プラスティック・オノ・バンド」、名曲「イマジン」のレコーディングにも参加した。

そんなクラウスが70歳の節目にアルバム制作を決意。番組では、旧友と久しぶりのセッションを重ねていく過程を追いながら、クラウスとビートルズとの人間的、音楽的なかかわりを振り返る。ポール、リンゴ、カーリー・サイモン、ジョー・ウォルシュ（元イーグルス）、ジョージ・ハリソン夫人や元モデルのツィッギーらが次々と登場する。

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