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「発災時 データで命は守れるか」検討会まとめ
<要旨>データでより多くの命・生活を守るためには、“発災前”“平時”からのデータ利活用が必要となる。万が一に備え、「空振り」を恐れず、積極的なリアルタイムデータ共有・利活用のルール作りをすべてのステークホルダーの理解を得て迅速に進めるべき。 |
<トリガー事例>
〇発災前・発災時、適した時点で、各種リアルタイムデータの提供・利活用促進を実行することが求められる。
発災時に通行実績情報を収集・提供する特定非営利活動法人ITS Japanでは「震度6弱以上(東京23区は震度5強以上)の地震発生時」「風水害、火山活動、土砂崩れなどの災害で、政府において、災害対策基本法に基づく緊急災害対策本部または非常災害対策本部が設置され、かつ被災地周辺の道路交通に広域的な支障が発生している災害発生時に、ITS Japanが通行実績の集約・配信が必要と判断した時」に通行実績情報提供開始と定めている。
<図7:特定非営利活動法人ITS Japan 通行実績情報の提供条件について>
ISUT(災害時情報集約支援チーム:現状は内閣府・防災科研の協働チーム)は、各種気象情報や道路状況等様々な情報を閲覧可能なISUTサイトを提供。大規模災害発生時は、内閣府調査チームが派遣される際に現地(被災都道府県の災害対策本部等)に向かい、気象や地震等の状況、インフラ・ライフラインの被災状況、避難所・物資拠点の開設状況等の災害情報を収集・集約の上、国・自治体・指定公共機関等の関係機関に提供。災害対応者のニーズに応じて必要な情報を重ね合わせた地図を作成し、現地で提供したり、ISUTサイト等で共有。
[図8:ISUT(災害時情報集約支援チーム)について]
<案>
〇前提として、データは平時から絶えず取得・提供できる体制を構築することが望ましい。発災時に、発災前のデータと比較することで、リスクを可視化することが可能となる。
シームレスで即時データ利活用可能な環境整備を
〇近年の災害時には「要請を待っていては対応できない」ということも明確になってきており、災害救助法適応も「みなし適応」が始まり、物資もプッシュで支給していく流れになってきている。そのため、データ提供のトリガーを定めるのではなく、むしろシームレスに、自治体や救助組織・研究組織・企業・住民などデータ利用者が発災前からデータを使いたい際に即座に使える環境を整備することが望まれる。
<課題>
データ提供側のコスト
発災前にデータ利活用をしたとしても、実際には発災に至らないケースも多いと想定され、データ提供側とのコンセンサスを得る必要がある。また、データ取得・提供には定常的にコストがかかる。データ提供側に、発災前にデータ提供することが可能か・体制が取れているか。どの段階ならデータ提供が可能なのか(自治体が発令する警戒レベル等)などを併せて検討していく必要がある。必要なコストをまかなう制度設計も求められる。