メディアフォーカス

韓国の周波数帯域配分,地上放送4K用を確保

地上放送のデジタル移行によって空いた周波数帯域をめぐって,放送と通信による争奪戦が続いてきた韓国で,政府は7月6日,帯域を放送と通信の双方に配分し,地上放送の4Kサービス用にも割当てる決定を行った。

メディア政策の権限をKCC(放送通信委員会)と分有する未来創造科学部(以下,未来部)のチェ・ジェユ第2 次官は同日,かつて地上テレビがアナログ放送用として使用していた周波数700MHz帯域(698~806MHzまでの108MHz幅)のうち30MHz 幅を地上放送4社の計5チャンネル(KBS1・2,MBC,SBS,EBS)の4K放送用として確保すると発言し,700MHz帯域の配分が事実上確定した。未来部が提示した配分案は,108MHz幅のうち放送に30MHz幅,通信に40MHz幅,災害ネットに20MHz幅,保護帯域に18MHz幅というものだった。

政府は当初,この帯域をデータ需要の急増に備えて通信事業者に割当てる計画だったが,4K放送実現のためにはどうしても700MHz帯域が必要と主張する地上放送各社,さらに地上放送の主張を支持する国会議員らが強力に巻き返しを図るなかで,調整を続けてきた。

今回の決定を受けて未来部は,2015年末までに地上放送の4Kサービスに関する政策方針案を発表する。しかし,この問題をめぐっては,未来部のチェ・ヤンヒ長官が7月17日,地上放送の立場を支持する政治家が周波数帯域の配分にあたって過度に介入したとして非難したほか,学識経験者の多くも,韓国では地上放送を直接受信して視聴する世帯が6.8%に過ぎないことを理由に放送への帯域配分に疑問を呈しており,釈然としない結末となった。

田中則広