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「顔出しインタを原則に」BPO放送人権委委員長が談話

BPO放送人権委は2014年6月9日,テレビニュースなどで,取材対象の人物が特定できないようにボカシやモザイクを入れる「顔なしインタビュー」が安易に行われているとして,「顔出しインタビューを原則とすべき」という三宅弘委員長の談話を発表した。

同委によると,2013~14年にかけて同委で放送倫理上の問題点を指摘する見解と勧告が相次いだことから,委員長談話を公表したという。

具体的には「大津いじめ事件報道に対する申立て」と「宗教団体会員からの申立て」,さらに「大阪市長選関連報道への申立て」で,報道・情報番組における匿名インタビューのあり方が問題点として浮かび上がったとしている。

この中で三宅委員長は「取材・放送にあたり放送倫理における,事実の正確性,客観性,真実に迫る努力などを順守するために,顔出しインタビューを原則とすべきである」と指摘したうえ,「行きすぎた社会全体の匿名化にも注意を促すことができる」と結んでいる。

これに対して,放送関係者から批判の声が上がった。「顔を出すのを嫌がる人が多い」,「現場の事情を分かっていない」,「内部告発で顔出しは厳しい」などの意見だ。その一方で,「BPOの言うとおり」と賛意を示す意見や「ケースバイケース」という意見も聞かれた。三宅委員長は取材に対して,「放送現場とは議論を重ねてきた。現場を分かっていないという批判は当たらない。内部告発など顔出しが厳しいものがあることは理解しているが,工夫も必要だ」と話している。

関谷道雄