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ソチ五輪 ネットとの連携進む

オリンピックとともに進化してきたとも言われるテレビ放送。2月7日から17日間にわたって開かれたソチ五輪では,放送とネットの連携の動きがより加速し,多様な視聴が広がった。

民放は132社による共同動画サイト「gorin.jp」を展開,ハイライト動画などを2,150本配信した。放送で生中継しない競技をネットで中継するライブストリーミングも2年前のロンドン五輪に続いて実施,競技の途中でも最初に戻って見ることができる時差再生サービスも初めて行った。民放連によると,サイトの来訪者数は期間中,500万人を超え,ロンドン五輪の2倍以上になった。また,今回はスマートフォンのユーザーが51%に増え,初めてパソコンを上回ったという。

NHKもホームページ上に五輪の特設サイトを開設,ハイライト動画のほか,民放と同様,初めてライブストリーミングの時差再生サービスを実施。放送と通信を連携させたハイブリッドキャストでも同様の時差再生サービスを初めて提供した。ソチ五輪での時差再生サービスは2013年総務大臣の認可を受けて可能になった。今回の五輪ではスマートフォン向けのサービスも充実した。民放は見たい競技や選手名を登録しておくと,関連する番組が始まる前に通知するアプリ,NHKは放送予定やメダル獲得の速報を知らせるアプリなど,番組視聴を広げるためのコンテンツを整えた。20年の東京五輪開催が決まり,すでに6年後を見据えた取り組みが始まっている。放送と通信の連携・融合は,今後どんな展開を新たに生み出し,テレビの価値,役割はどう変わっていくのか,注目していきたい。

後藤千恵