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オーストリアの公共放送ORFフェイスブック使用に青信号

オーストリア憲法裁判所は,公共放送ORF(オーストリア放送協会)のフェイスブック使用を禁止した監督当局の措置を無効とする決定を下した。

ORFのフェイスブック使用をめぐって行政裁判所は,2012年11月14日,ORFが業務に関係のない分野についてSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使用することはORF法に違反するという通信監督庁(KommAustria)の決定を認めたが,同月16日,憲法裁判所は,ORFのフェイスブック使用を全面的に認める暫定的な決定を行った。

2013年7月26日に出された憲法裁の最終決定によると,ORFがSNSにリンクを張ったりSNSと提携したりすることを禁止するのは,憲法で保障された言論の自由と放送の自由に抵触するとしている。

地元メディアが自由競争をゆがめるとして訴えた今回のケースについて,憲法裁は,法律の規制を検証した結果,放送市場において商業放送事業者の保護が必要とされるのは,一部分にすぎないことが証明されたと指摘した。

ORFのフェイスブック使用をめぐる法律論争は,2011年,地元紙が「公共放送がSNSを展開すれば,小規模メディアや出版業界を圧迫する」という苦情を掲載したことが発端。

オーストリア新聞連盟(VÖZ)は「ORFが営利目的でSNSを使用しないよう目を光らせていく」と警戒するが,ORFのヴラーベツ会長は「SNSを営利目的に利用することは決してない」と述べた。

熊谷 洋