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韓国,放送局で同時多発「サイバー攻撃」

韓国では3月20日午後,KBSをはじめとする主要放送局や金融機関などが「サイバー攻撃」を受け,社内のイントラネットが不正プログラムに感染して一斉に使えなくなった。

このうち放送局関係では,公共放送KBSと商業放送のMBC,それに報道専門チャンネルのYTNで,20日午後2時すぎから社内のイントラネットが使えなくなった。KBSではパソコン数千台が使えなくなり,放送現場の職員の多くが,手書きによる原稿で緊急事態に対応するなど,ニュース原稿の作成や編集作業に影響が出たが,放送システムは別のネットワークを構築していたため,放送が出なくなる事態には至らなかった。

政府機関の韓国放送通信委員会(KCC)は同日夕方,「ハッキングにより不正プログラムが流されたことを確認した」と発表し,何者かによるサイバー攻撃があった可能性が高いと見ているが,ハッカーがどのようなルートで攻撃を仕掛けたのかを確認するには時間がかかるとしている。

またYTNでは,同月26日にもホームページが表示されなくなる障害が発生しており,再度,サイバー攻撃を受けた疑いもあるとして引き続き調査が行われている。

韓国では2009年7月以降,複数回にわたって北朝鮮によると見られるサイバー攻撃があり,韓国政府は今回の事件についても北朝鮮による攻撃の可能性が排除できないとして,実態の解明を進めるとともに,さらなる攻撃に対しても警戒を強めている。

田中則広