メディアフォーカス

第46回衆議院議員総選挙とソーシャルデータ分析

2012年12月に行われた衆議院議員総選挙では,ネット上のブログやSNSにおいて,政党や政策,候補者に対して膨大な書き込みがなされた。これまで選挙の情勢分析については,マスメディア各社が世論調査という形で行ってきたが,ネット上の書き込み,いわゆるソーシャルデータが新たな情勢分析の材料としてどの程度の活用可能性があるのかに関心が高まっており,今回,幾つかの分析が試みられた。

コンサルティング会社のルグラン社では,公示日から投開票日前日までのブログ記事約19万7,000件を分析(データはホットリンク社の提供)。「投票に行くつもりがある」という割合から投票率を,各政党についてのポジティブな書き込みの割合から比例代表の得票率を予測できる可能性を示唆した。

また朝日新聞社では,テキストマイニングサービスを行うプラスアルファ・コンサルティング社の協力を得て,投開票日前日までの19日間の選挙に関連するツイッターのつぶやき約460万件を抽出。各政党へのポジティブ・ネガティブのつぶやきの時系列推移や,話題に上ることが多かった争点やテーマを分析,選挙結果との相関を探った。

政治に関するソーシャルデータの分析は緒についたばかりである。データ抽出や分析方法,右傾化傾向との指摘がなされるソーシャルメディアの言論特性の把握など課題は多い。しかし,ネット選挙解禁の動きが見える中,今後もこうした分析の動きが加速化することは間違いないであろう。

村上圭子