メディアフォーカス

仏,国際放送会社「AEF」新社長,大統領の要請で独立規制機関が推薦,決定

オランド現政権との路線対立で社長が辞任した,フランスの国際放送を統括するAEF(フランス海外放送会社)の新社長が,サルコジ前政権が決めた大統領による直接指名を避ける形で,独立規制機関による推薦によって決定した。

AEFはテレビ国際放送France24とラジオ国際放送RFI,それにフランスをはじめ,スイス,ベルギーなどフランス語圏地域の番組を海外に向けて放送しているTV5Mondeの3社を統括している。その社長だったド・プジラック氏は,傘下のFrance24とRFIの合併に伴う編集権の問題で社会党の新政権と対立し,7月12日に辞任した。ド・プジラック氏はサルコジ前政権の意向を受けて,テレビとラジオの編集部門の統合による合理化をめざしたが,「ラジオ国際放送側の編集権が失われる」と反対した労働組合側の主張を新政権が支持したため辞任した。

一方でオランド現政権は,サルコジ前大統領の重要なメディア政策の一つである,共和国大統領による公共放送各社の社長の直接指名を廃し,将来的には独立規制機関CSA(視聴覚高等評議会)による指名に戻す方針を明らかにしている。このためオランド大統領は,自ら直接指名することを避けてCSAに適任者を推薦するよう7月末に要請した。CSAは10人ほどの候補者について非公開の聴聞を行い,国立行政学院出身のエリート官僚で2008年からTV5Mondeの局長を務めているマリー・クリスティーヌ・サラゴス氏を推薦した。これを受けてオランド大統領は9月11日にサラゴス氏を新社長に選任したと声明の形で発表した。

新田哲郎