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日テレ,僅差で「視聴率三冠王」を奪回

日本テレビは2012年1月2日,2011年の年間視聴率(ビデオリサーチ調べ 関東地区,2011年1月3日から2012年1月1日の世帯視聴率。以下同じ)における全日,ゴールデンタイム,プライムタイムの3部門で,いわゆる「視聴率三冠王」を8年ぶりに奪回した,と発表した。

これまでに伝えられていたところでは,去年の12月までは,フジテレビがゴールデン(19時~22時)とプライム(19時~23時)いずれも12.4%で同率,全日(6時~24時)では日本テレビの7.9%に対し8.0%と0.1ポイント差でリードしていた。しかし日本テレビは,松嶋菜々子主演のドラマ「家政婦のミタ」が尻上がりに視聴率を上げ,最終回には40.0%を記録して追い上げた。また,バラエティ番組や情報番組でも大晦日まで好成績を積み重ね,最終的に全日8.0%(フジテレビと同率),ゴールデンとプライムはともに12.6%(1位)となって,前年まで7年連続「三冠王」だったフジテレビを僅差で逆転した。

年間視聴率は広告収入に影響を及ぼす重要な指標であり,最終盤のデッドヒートは各方面の関心を集めた。しかし,同じ「視聴率三冠王」でも,TBSが最初の「三冠王」になった1978年(後期)の数字は,全日10.3%(NHKと同率),ゴールデン18.8%,プライム17.1%(ビデオリサーチ調査。『TBS50年史 資料編』,2002年,229ページ)で,特にゴールデンは2011年に比べて6.2ポイント高かった。このたび発表された数字は,一方では日本テレビの「三冠王」を意味しているが,他方では,長期的に見た場合,年間視聴率の水準が次第に低下してきていることをも示している。

横山 滋