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BBCワールドニュース スポンサーシップ内規違反

BBCの業務を監督するBBCトラストは11月15日,BBCの営利子会社BBCワールドニュース社が海外向けに放送した15本の番組で,スポンサーシップ規定のガイドラインに対する重大な違反があったと発表した。

問題の番組は,BBCが低価格で購入したり,委託制作をしたもので,外部からの指摘を受けBBCトラストが調査したところ「スポンサーの業務を宣伝しない」「スポンサーを視聴者に明示する」「報道番組にはスポンサーをつけない」などの点で内規違反が認められた。

具体的には,温室効果ガスの排出量取引を扱った番組でスポンサー企業を取材したり,ユネスコや国連開発計画などから資金を得て制作された番組で,同機関の関連活動を紹介したのは宣伝に当たるとされた。

また,環境破壊の一因との批判があるマレーシアのパーム油産業を取り上げた番組では,外部の制作会社がマレーシア政府から多額の予算を受けていたことをBBCに明らかにせず,番組にもクレジット表記をしていなかった。

さらに,利害が衝突するテーマやニュース報道番組に対するスポンサー禁止規定が徹底されていなかったことも問題視された。

今回の違反は,BBCの国際的な評価や信用にかかわる重大なものだとして,BBCでは今後,制作委託や番組購入に当たり,より慎重に審査を行うこと,国連機関を含む非営利組織のスポンサーシップを受け付けないことなど,海外向けの番組であっても国内と同様にガイドラインを徹底させる方針を示した。

田中孝宜