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米FCC,“ホワイトスペース”を無線ブロードバンドへ開放

FCC(連邦通信委員会)は9月23日,地上テレビ放送のデジタル移行で空いた周波数帯域(ホワイトスペース)を高速無線ブロードバンドなどの使用のために開放することを,5人の委員の全会一致で決定した。グーグルやマイクロソフト,デルなどの企業は,多様なインターネットサービスの展開につながると決定を歓迎している。

FCCでは2年前に帯域の使用を許可しようとしたが放送局などの反対が多かったため中止し,今回は技術的な基準やルールを細かく定めて改めて開放に踏み切った。放送で使用される周波数帯域は,通信用のものに比べて到達距離が長く,障害物の影響も受けにくいことから,「スーパー Wi-Fi」と呼ばれる移動端末向けの高速ブロードバンドサービスなどでの活用が期待されている。

FCCは1985年に一度,周波数帯域の開放を行い,ガレージ開閉用リモコン装置などさまざまな無線機器の普及につながった。それから25年たった今回の決定は,この間に飛躍的に進んだIT技術を取り込んで,さまざまな社会インフラの充実と多様なサービスにつながると見られている。FCCのJ.ジェナカウスキー委員長は「ホワイトスペースは技術革新の強力な土台になるだろう」と述べ,経済効果は70億ドル(約5, 800億円)に上ると見ている。

一方,電波の混信などを懸念する放送業界や,ワイヤレスマイクを多用するテレビ局や舞台関係者は帯域の開放に反対してきたが,今回のFCCの決定を受けて今後の対応を検討していくとしている。

柴田 厚