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ドイチェ・ベレ,利用実態調査の報告書を公表

ドイツの国際放送機関ドイチェ・ベレ(DW)が3月29日,利用実態調査の報告書を公表した。この調査は,DWが,ACニールセン,ICFマクロ,シノベイトなどの企業に委託して,2008年12月から2009年7月にかけ,60の国と地域で,面接や電話などの手法で行われた。DWでは,調査結果を 2010年からの4か年事業計画の基礎データとして活用した。

DWは,政府交付金を財源とし,ラジオ・テレビ・インターネットで外国向けサービスを行っている。使用言語は30にのぼるが,テレビではドイツ語・英語・スペイン語・アラビア語に限られる。事業目標は,ドイツやヨーロッパへの理解と,異なる文化間の交流の促進,およびドイツ語の普及である。

調査では,サービス全体で1週間に約8,600万人に利用されていることがわかった。メディア別の割合では,ラジオ63%,テレビ29%,インターネット8%である。ネットへのアクセスは,英語サイトとドイツ語サイトを合わせて年間約8,000万ページビュー,ドイツ語学習サイトで年間約2,340万ページビューだった。サービス全体に対し,利用者の93%が,ドイツやヨーロッパの理解に役立つと評価している。DWの放送が,現地のラジオ局やケーブルテレビ事業者経由で送信されている国では,番組がよく利用され,DWに対する認知度が高い。報告書は,サービス普及に不可欠な,現地事業者との提携をめぐり,国際放送機関同士の競争が厳しいことも指摘した。DWでは,対象地域の実情に即した手段や内容のサービスをさらにきめ細かく設計し,利用を拡大し,存在感を増したいとしている。

伊藤 文