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米国での北京五輪のTV視聴者,過去最高ネット利用も増加

NBCは,北京オリンピックの米国内での視聴者数は17日間の期間中,2億1,400万人にのぼり,これまでのオリンピック放送で最も多くなったと8月27日,明らかにした。

これまでの最多は1996年アトランタ大会の2億900万人で,前回アテネ大会は2億300万人だった。マイケル・フェルプス選手が8つの金メダルをとった水泳や体操などの人気競技が,アメリカのプライムタイムに放送されたことや,競合する新番組や人気番組の少ない8月に大会が開かれたことなどが,視聴者増加につながったとNBCではみている。

また,今大会は多くの競技がインターネット配信されたことが大きな特徴だった。NBCでは独自のオリンピックサイトで2,200時間の競技中継や結果速報,選手情報などのサービスを行った。その結果,大会期間中の閲覧は12億ページ,動画のストリーミング視聴は7,200万回におよんだ。これは,2004年のアテネ大会と2006年冬季トリノ大会でのアクセスを合計した数の2倍以上にのぼる。これまではテレビ放送された競技しか見られなかったが,今回はネット上で『五種競技』など馴染みのうすい種目も配信され,ユーザーの多様なニーズに応えた。NBCでは今大会を,視聴者がネットをどのように利用するか調査する機会ととらえていたが,最終的には,視聴者の93%がテレビ視聴で情報を得ていたことが明らかになった。NBCでは,次回のオリンピック以降,インターネットはさらに強力な配信媒体になるとみており,その利用法を詳細に検討することにしている。

柴田 厚