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大阪市の補助金疑惑追及 BRC,センセーショナルな報道は不適切

放送と人権等権利に関する委員会(BRC)は2007年11月12日,毎日放送の報道番組『VOICE』が2006年11月20日に,大阪市の民間福祉施設等に対する償還金補助は,“ヤミ補助金”の疑いがあり,補助金を受けていた法人の中には部落解放同盟の幹部らが理事を務める法人があると放送した事案で,名誉侵害は成立しないなどの審理結果を公表した。

この報道に対しては,部落解放同盟大阪府連の幹部らが,解放同盟やそのリーダー個人が関係している法人を殊更強調している,行き過ぎた演出であり社会的評価を低下させられたと申し立てた。とくに前年分補助金が次年度に支出されたことを事前に知りながら「なぜか2倍に当たる補助金が支払われていた」と報道したのは悪意に満ちていると主張した。

BRCは「部落解放同盟が,番組が伝える『ヤミ補助金』に深くかかわっているものと印象づけ,知名度の高い申立人の肩書を表示したことで,その社会的評価を低下させたことは否定できない」としながらも,「補助金の受け手側に部落解放同盟関係の法人が比較的多数を占めていた事実を報道することによって,大阪市のみならず部落解放同盟に対する批判的視点を提供したものと言える」とし,名誉侵害の不法行為は成立せず,放送倫理に違反するところもないと判断した。

しかし,「2倍の補助金」については申立人が理事を務める法人に何らかの不正があったかのごとく視聴者の関心を惹く手法を用い,センセーショナルに報道したことは不適切である,と指摘した。

奥田良胤