国内放送事情

「これからのテレビ」を巡る動向を整理する

~2013年1月-5月~

ポスト地上デジタル化,ポスト還暦の「これからのテレビ」を巡る動向は,2013 年に入りますます活気を帯びてきている。こうした現状を的確に認識するには,多様な事業者がテレビを巡り熾烈な争いを展開しているという流れと,総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」を軸とした,オールジャパンでテレビ産業を国の成長戦略や国際戦略の中に位置づけようという流れの,並行して進む両極の流れを意識しながら整理していく必要がある。5月31日の高度化検討会では,4K/8K(スーパーハイビジョン),スマートテレビ,ケーブル・プラットフォームの3 側面から,今後の取り組みに向けた体制やロードマップが示された。これを受け,放送・メーカー・通信の事業者の思惑は今後どこまで調整可能で,関連事業者の結集はどの程度行われるのか。そしてそのことは,テレビの将来に,そして視聴者に,社会にどのような意味を持ち得るのだろうか。本稿は、通信と放送が本格的に融合していく中,これからのテレビがどのような姿になっていくのかを継続的に考える作業の結果報告である。今回は、13年1月から5月までの最新動向を整理、論考した。

メディア研究部 村上圭子