国内放送事情

3月11日、東日本大震災の緊急報道はどのように見られたのか

ビデオリサーチの視聴データを大震災当日の視聴傾向を分析した。

総合テレビを中心に3月11日の本震発生時刻から12日午前0時までを分析の対象とした。今回の分析の特徴は個人視聴データを活用したことと関東・関西・名古屋の3地区の比較を行ったことである。分析の柱は以下のような6項目である。

1.地震直後、視聴率は下がった

2.視聴率と帰宅困難者

3.大幅に増加した視聴時間

4.視聴行動はふだんと変わったのか

5.関東・関西・名古屋の視聴傾向~NHK総合 3地区比較~高視聴率の分析・毎分の視聴率差の分析・視聴率「ポイント」の分析

6.視聴率の変動要因の分析

視聴データからはテレビを視聴できた人たちはふだんより90分長く放送を見ていたのに、一部の地域でも震度6強が観測された関東地区では自宅のテレビを見ることができない人たちが相当数いたことが分かった。チャンネルの選択などの視聴行動にもふだんとは違った傾向が見て取れた。

関東・関西・名古屋の3地区の総合テレビの毎分世帯視聴率の比較からは以下のような傾向が浮かび上がってきた。この日の最高視聴率を記録した時刻は3地区とも異なっていた。さらに視聴率が3地区そろってプラスかマイナスに1分間で0.5%以上変動した時点を調べると午後2時47分から午前0時までの553時点中22時点だけだった。総合テレビだけの傾向かどうかを確認するためフジテレビと系列局の関西テレビと東海テレビを調べたところ、こちらも547時点中25時点と少なかった。3地区の総合テレビの視聴率のグラフを重ねてみるとその理由が明らかになった。グラフは異なる曲線を描いていた。

メディア研究部(メディア動向) 瓜 知生