国内放送事情

ワンセグ放送 普及拡大とその視聴

~第二回 利用実態調査報告~

ワンセグ放送が受信できる携帯電話の普及は急速に進み、2007年 12月末には累計出荷台数が2,000万台を突破した。ワンセグの視聴実態を把握するため、インターネットによるアンケート調査とオンライン・ディスカッションの2種類の調査を行った。

(インターネット調査)

視聴している人の時間帯別の割合は、朝7, 8時台、昼0時台、夕方5時以降の三つの山があり、ピークは高い順に、昼、晩、朝となっている。晩の時間帯は7時台に第一次ピークをむかえた後、8時台に一旦下がってから9時台に晩の最高点に達する二こぶ型となっている。ワンセグを見ている場所は「帰りの電車・バス」が最も多いが、2位にはきん差で「自分の部屋」が入った。「自分の部屋」で使っているは、20代の女では49%と半数にのぼる。見ている番組のジャンルで多いのは「ニュース」「ドラマ」「天気予報」などで、普段家でよく見ているテレビと変わらない。

「前日の番組を録画しておいて通勤電車のなかで」、「子供番組を録画しぐずった時に見せる」など、オンエアーの視聴以外にかなりの人が録画機能を利用していることもわかった。ワンセグ独自放送に多くの人が望むのは「ニュースのテロップを大きくする」で、62%の人がやってほしいと思っている。

(オンライン・ディスカッション)

活発な話題をよんだのが、OLの「ひとりランチ」に欠かせないツールとしてのワンセグだった。男性に多かったのが会社の中で「こそっと」ワンセグを見るという使い方だ。職場にいながら別の情報空間にいるという状態が、デジタル化にともなって発生している可能性がある。この別の情報空間に属しているという感覚は女性たちの発言からもうかがえる。

テレビ視聴についてこれまではテレビ局側が視聴者を引っ張ってきた。しかし、ワンセグ対応携帯電話の普及により、視聴者主導のテレビ視聴が生まれつつある。

メディア研究部(メディア動向) 三浦基/小林憲一