国内放送事情

検索エンジンと著作権

検索エンジンはインターネットにとって欠かせないツールとなっている。しかし、新しいサービスであるだけに、これまでのメディアには考えられなかったサービスやビジネスが生まれており、これらは深刻な権利侵害の可能性をはらんでいる。本稿では、現在問題となっている著作権と商標権についての事例を取り上げ検討する。

著作権で深刻な問題となっているのは「キャッシュ」サービスである。「キャッシュ」サービスは検索エンジンがWebサイトをクロールした際にダウンロードしたページのデータを提供しているものだが、これは大量の原著作物を複製し公衆送信を行っているサービスである。日本の法制上は送信可能化権の侵害の可能性が濃厚であるといわれている。米国では、今年に入ってふたつの判決が下され、検索エンジン側の主張が認められたが、判決を詳細に検討すると、課題や疑問も残っている。本稿では著作権上「キャッシュ」が、どのように取り扱われてきたのかなどこれまでの経緯をひもときなかが、判決を吟味する。また検索エンジンの主たる財源となっている広告について、ブランド名を販売することに対して、商標権などの問題も深刻になっており、フランスでは検索エンジン側が連続敗訴しているが、米国では合法の判断が下されるなど国によって検索エンジンに対する対応も異なっている。米国でも裁判所の判断には微妙な違いもあり、混乱が続いている。ここでは、このふたつをあわせて考察する。

研究主幹 三浦基/ 主任研究員 小林憲一