番組研究

ブログの世界と“テレビブロガー”(下)

~オンライングループインタビュー調査の結果より~

本稿は、6月号掲載の「ブログの世界と“テレビブロガー”(上)」の続編であり、春の研究発表で報告したオンライングループインタビュー調査の結果をあらためてまとめたものである。

今回の調査では、テレビについて書く「テレビブロガー」の中でも、自分のブログをコンスタントに更新し、他のブロガーとのコミュニケーションも成立している先端的なテレビブロガーを対象者とし、彼らの行動や意識を具体的に詳しく把握した。

調査結果から、先端的ブロガーは、
  1. ブログを「他者や社会とつながるコミュニケーションツール」ととらえていて、他のブロガーとのコミュニケーションがブログ継続のモチベーションになっている。
  2. ブログによって、不特定多数のブロガーと感動を共有したり、コンテンツをより深く濃く味わうための詳細情報を入手したり、テレビを見る楽しみを増幅させている。
  3. ブログを継続することによって情報感度が高くなったと感じている。「自分も1つのメディアである」という明確な意識の下に、読み手の受け止め方を考慮しながら情報発信を行っている人もいる。
などが明らかになった。

先端的ブロガーは、テレビにはブログに書く話題の供給元としてのメリットはあると認めていた。しかし、ニュースサイトやSNS、「2ちゃんねる」などネット上の多様な情報源を使いこなしている彼らにとっては、情報源としてのテレビの存在感は、相対的に低下してきていると考えられる。

コンテンツの質を見極める鋭い鑑識眼を持ち合わせた先端的ブロガーの影響力は、今後、ブログの増加・拡大と共に徐々に大きくなっていくのではないかと思われる。コンテンツの送り手であるテレビ制作者は、こうしたブロガーたちの動向から目を離すことはもはや許されない、厳しい時代になってきているともいえよう。

メディア研究部(番組研究)執行 文子