「5時ころ」?「5時ごろ」?
2008.03.01
「頃」という漢字は字幕スーパーでは使わないことになっていますが、ではひらがなで「ころ」と書けばよいのでしょうか。
「その頃」は「そのころ」と書きますが、「5時頃」は「5時ごろ」と濁点を付けることになっています。その部分を[コロ]と発音するのか、[コ゚ロ]と発音するのかによって、きちんと書き分けるようにしてください。
解説
あることばとことばが複合したときに、一部が濁った音(濁音)に変わることがあります。これを「連濁」と言います。たとえば次のようなものです。
- ヒナン(避難)+ハシゴ(梯子)=ヒナンバシゴ
- タチ(裁ち) +ハサミ(鋏) =タチバサミ
- カイテン(回転)+スシ(寿司)=カイテンズシ
- ナマ(生) +カキ(牡蠣) =ナマカ゚キ
そしてこれらを文字で書く場合には、放送では「梯子」「鋏」「寿司」「牡蠣」という漢字は使わないことになっているので、
- 避難ばしご
- 裁ちばさみ
- 回転ずし
- 生がき
となります。発音に従って書き表すのが基本です。
『NHK新用字用語辞典(第3版)』で「ハシゴ」「ハサミ(鋏)」「スシ」「カキ(牡蠣)」を引くと、漢字ではなくひらがなで「はしご」「はさみ」「すし」「かき」と書くように示されています。これはあくまでこれらのことばを単独で使う場合のことであって、複合語で「避難はしご」「裁ちはさみ」「回転すし」「生かき」のように書くのは、好ましくありません。
「頃」については、『NHK新用字用語辞典』に「ころ」と「ごろ」の両方の項目を立ててあります。「5時頃」を[ゴジコロ]と発音する人もいるようですが、少なくとも現時点では[ゴジコ゚ロ]という発音が最も一般的なものと考えられるので、字幕スーパーで書く場合にも「5時ごろ」と書くことをおすすめします。「5日(いつか)ごろ」「5月ごろ」「平成5年ごろ」なども同じです。