「敷居が高い」の意味は?
2013.11.01
最近「敷居が高い」ということばが、「あの店は高級(上品)すぎて行きにくい」などの意味で使われるのを耳にしますが、誤りではないでしょうか。
「敷居が高い」は本来「不義理や面目のないことがあって、その人の家に行きにくい」の意味。ご指摘のような使い方は若い世代を中心に多くなっているようですが、本来の語意・語法ではありません。
解説
「敷居が高い」の意味について、国語辞書(『日本国語大辞典 第二版』小学館)は次のように記しています。「相手に不義理をしたり、また、面目のないことがあったりするために、その人の家に行きにくくなる。また、その人に会いにくくなる状態をいう語。」
ほかの辞書も、同様の意味を載せていますが、中には語釈(語句の意味の説明)のあとに次のような[注意]を付記している辞書もあります。<程度や難度が高い意で使うのは誤り。「×高級すぎて僕らには敷居の高い店」「×初心者には敷居の高いゴルフコース」>(『明鏡国語辞典 第二版』大修館書店)
「敷居が高い」の意味について尋ねた文化庁の調査結果は以下のとおりです。
(平成20年度文化庁「国語に関する世論調査」)
(ア)相手に不義理などをしてしまい、行きにくい・・・・42.1%
(イ)高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい・・・45.6%
(ア)と(イ)の両方・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.1%
(ア)、(イ)とは全く別の意味・・・・・・・・・・・・・・0.3%
分からない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.9%
年代別では<40代を境に、50代以上では本来の意味である「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」、30代以下では「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」を選んだ人が多くなっています。>
(文化庁ホームページより)
この調査結果からみると、「敷居が高い」について、若い世代を中心に「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という意味で使われることが多くなっているようです。しかし、<放送では「不義理や面目のないことがあって、その人の家に行きにくい」という本来の意味で使うように…>と放送の現場の人たちには伝えています。