放送現場の疑問・視聴者の疑問

ハングル語で話す?

北朝鮮による拉致被害者の家族の人たちの日本での生活の様子を伝える際、一部の番組で「ハングル語で話しています」と言っていました。この「ハングル語(で話す)」という言い方は不的確ではないでしょうか。

「ハングル」というのは文字ですから、「ハングル語」あるいは「ハングル語で話す」という言い方はしません。ご指摘のケースでしたら、「朝鮮語で話しています」などと言うべきでしょう。

解説

「ハングル」(han-gul)は、文字です。「大いなる文字」という意味で、朝鮮(韓国・北朝鮮)固有の表音文字です。したがって、単に「ハングル」あるいは「ハングル文字」とは言っても、「ハングル語」あるいは「ハングル語で話す」などという言い方はしません。これを日本語に即して考えてみますと、「ハングル語で話す」ということは、「ひらがな語で話す」「漢字語で話す」と言うようなものです。朝鮮半島で使われていることばについて、一般的に「~語」と言う場合は、使う状況などに応じて「朝鮮語」、「韓国語」あるいは総称で「韓国・朝鮮語」などという言い方があります。

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)