放送現場の疑問・視聴者の疑問

「記録的短時間大雨情報」と「大雨警報」とはどのように違う?

「記録的短時間大雨情報」の雨量の基準が引き上げられることになったというニュースを聞きましたが、「大雨警報」などとはどのように違うのでしょうか。

「記録的短時間大雨情報」は、気象庁が「大雨警報」を出して警戒をよびかけている時に短時間に猛烈な大雨を観測した場合、災害への一層の警戒をよびかけるものです。

解説

この「大雨情報」は、345人が犠牲になった「昭和57年7月豪雨」(長崎豪雨)を機に、従来の大雨警報・注意報では防災面で不十分だという反省と教訓から、翌58年(1983年)に導入されました。数年に一度というような記録的な短時間の大雨を観測した場合に、その場所と雨量を発表して災害に対してさらに強い警戒をよびかける警告的な情報です。

ところで、「記録的短時間大雨情報」を発表する雨量の基準について、気象庁は地域ごとに1時間50ミリから120ミリまでの範囲で定めていましたが、ここ数年は年間の発表回数が80回を超えることもあり、このままでは警戒をよびかける効果がうすれる恐れが出てきました。このため基準を大幅に見直し、4月から最大で今より30ミリ引き上げたものです。

「数年に一度」の見込みだった「記録的短時間大雨情報」が、たびたび出るようになったのは・・・◆気象レーダーをもとに雨量を推定する、いわゆる「解析雨量」を発表の対象に加えたこと(1994年6月以降)や ◆気象庁が参考にする国や自治体の観測地点が増えたためです。

NHK全国調査(1999年)の結果では、「記録的短時間大雨情報」について正確に答えた人は20%にとどまり、「見たり聞いたりしたことがない」「わからない」という人が30%もいました。もっとわかりやすく緊迫感のある言い方に変えられないかという指摘もあります。

(『改訂版気象ハンドブック』P97参照)

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)