放送現場の疑問・視聴者の疑問

「斜め[ナナメ]に構えている」は、「斜[シャ]に構える」では?

先日、ある番組で司会者が「あの人は、世の中の出来事に対して斜め[ナナメ]に構えている」という言い方をしていました。本来の言い方は「斜[シャ]に構える」ではないでしょうか。

ご指摘のとおりです。

解説

こうした場合の慣用句としての本来の正しい言い方は「斜[シャ]に構える」です。「斜に構える」は、もともと「剣術で相手(敵)に対して刀を下げて斜めに身構えること」から「改まった態度をとる」「おつに気取る・身構える」「物事に正面から対処しないで、皮肉な態度で臨む」ことをいいます。文化庁の「言葉に関する問答集」では、こうした「慣用句のくずれ」のマスコミでの実例として・・・×「腹が煮えくり返るほどくやしい」(煮えくり返るのは“はらわた”)×「おへそを抱えて笑う」(かかえるのは“腹ーおなか”)×「ちょと頭をかしげて、こう言った」(かしげるのは“首”)などをあげています。

(メディア研究部・放送用語 豊島 秀雄)