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経験という 引き出しを大切に

  • 2022年4月1日
 

誰かの役に立つ仕事

大学生のときに、地元(熊本県)のコミュニティーFMで学生キャスターをする機会があって、そこでの経験が「アナウンサーになってみたい」と思うようになったきっかけです。
楽しい雰囲気の情報番組でしたが、生放送中に地域での火災の情報が入ってきたことがありました。プロの話し手の方が、車の中で聴いている人などを想定して「○○で火災が起きています。緊急車両が通る可能性があります。近くを走行中の方は気をつけてください」と呼びかけていました。その様子を間近で見て、私は「こういうときに役に立つのは消防士や医師だけではないのか!」と気づかされました。放送はおもしろいことや感動も伝えるけれど、人の役に立つこともできる・・・。そう思うと、アナウンサーという仕事っていいなと思うようになりました。

NHKのアナウンサーとの接点

東京にはアナウンススクールが多くありますが、私が住んでいた熊本にはあまりなくて、そこで見つけたのがNHK放送研修センターのインターネット通信添削です。
課題を録音して送ると、放送現場の第一線で活躍しているアナウンサーから音声ファイルでアドバイスやメッセージが届きます。実際に、『おはよう日本』や『きょうの料理』などテレビで見たことのあるアナウンサーから私だけのためにメッセージをもらえて、とても驚いたのを覚えています。
若者ことばと社会人のパブリックな場でのことばづかいの違いや、話す順番の組み立て方など、ここで学んだことは実際の面接でも役立ちました。また、そのとき接したアナウンサーの先生方が、遠方に住む私のような学生にも丁寧に熱量を持って教えてくださったことがすごく印象に残って、もし私がNHKで働くとしたら・・・というイメージが少しだけ持てた気がしました。

就活エントリーシート用に撮影した写真

今しかできないことを全力で

“アナウンサーの仕事”というとどんな姿を思い浮かべるでしょうか。正しい発音・アクセントでスラスラとニュースを伝える姿・・・? 私も就職活動前はそんなアナウンス技術を身に付けていなければ採用してもらえないと思っていました。しかし、実際のテクニックはほとんど入局してから学びました。
インターネット通信添削は、就活の準備としてとても役に立ちましたし、「NHKってどんな人が働いているんだろう?」と知る意味ではターニングポイントでした。一方で、面接の本番で大事になってくるのは「話す技術」よりも、話している内容、様子、その人の人柄や考え方だと思います。
「話す技術」はあるけれど何を話したらいいか分からない…とならないためにも、学生時代は好奇心の赴くままに、学生時代にしかできないことを全力でやってほしい。経験という引き出しをたくさん持ってほしいと思います。 それはきっと就職活動で自分を魅力的にすると思いますし、アナウンサーになって伝え続ける上でも心の拠り所になります。

<学生時代>
旅先でいろんなことを体験しました
大学の卒業式

広い視野で、アナウンサーという存在を見て

放送現場で働く人たちと接した経験から、私がなんだか引かれるなと感じていたのが「チームワーク」でした。テレビ画面ではアナウンサーなど出演者の様子が目に入ってきやすいですが、映像に映っていないところにはその何十倍もの人が関わっていて、放送は連係プレーによって成り立っています。 アナウンサーの仕事だけに焦点を当てるのではなく、ぜひその周りの仕事にも視野を広げてください。そうすることで、チームの中でのアナウンサーの役割がより鮮明に浮かび上がってくるはずです。記者、ディレクター、カメラマン、編集やマネジメント系の仕事までさまざまなプロフェッショナルがいて、それぞれの伝えたい気持ちがピタッと重なり合う瞬間に、「うれしい!ワクワクする!」と感動する。そんな気持ちに共感できる人は、放送の仕事に向いているのではと思っています。

初任地・徳島局の新人時代

思い浮かぶ顔が、どんどん増えていく

ことし(2022年)で8年目になりますが、放送に向かうときにはいつも、この放送をどんな人がみているだろうか、どんなふうに聞いているんだろうかと想像するようにしています。
それは、家族や学生時代の友人の顔だったり、地方局にいたころ取材した方だったり、共演したタレントさんだったり。あの人だったらこのニュースをどう思うだろうか?この話題を聞いて喜ぶだろうか、悲しむだろうか、なるべくショックを受けないように伝える方法はないか、相手を傷つけずに課題について考えてもらうには、どうしたらいいだろう・・・?
思い浮かぶ大切な存在が、私がこれまで歩んできた道でありこれから伝える上での道しるべにもなっている気がします。自分の中でそうした存在がどんどん増え、仕事で得たものがひとりの人間としても大切なものになっていると感じるとき「アナウンサーになって良かったな」と思います。

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