ラーメンもその名を冠する“鳥取 江美(えび)城跡”で歴史旅
- 2023年08月18日
鳥取県江府町(こうふちょう)に、戦国時代に開城されたといわれる城跡があるのを知っていますか?一説には、あの豊臣秀吉が重要な城ととらえていたことを示すとされる貴重な出土品も発掘されていて、注目を集めています。鳥山圭輔アナウンサーが歴史のロマンを感じる旅に出ました。
戦国時代に開城 「江美城」
鳥取県江府町は秀峰・大山のふもとに位置する自然豊かな小さなまちです。今回訪ねたのは、戦国時代の城で今の江府町・江尾地区にあった「江美(えび)城跡」です。1400年代後半~1500年代の戦国時代に、たたら製鉄や開田によって勢力をつけた蜂塚安房守(はちづかあわのかみ)により開城されたといわれる江美城跡は、江府町の歴史・文化を学ぶ事のできる貴重な史料として、いまも大切に継承されています。
江美城跡を案内してくれるのは、「江美城を探る会」代表の川上淑子さんです。地元の有志で、江美城の学習活動やツアーガイド養成などに取り組んでいます。川上さんによると、江美城の歴史は、戦国時代にいまの島根県東部を拠点に山陰地方で勢力を誇った大名・尼子氏に大きく関係しているといいます。
「江美城を探る会」代表 川上淑子さん
(江美城は)いまから約500年前に、初代・蜂塚安房守(はちづかあわのかみ)によって開城したといわれていて、その蜂塚は尼子に仕えていたという説があります。それが4代続いたのち、尼子方と攻防を繰り広げていた毛利方から落城させられたという歴史があります。
尼子氏は、毛利氏との戦いに敗れ衰退したとされていて、現在の城跡は毛利方の吉川氏が再整備した説が有力だといいます。
遺跡が語る 500年前の歴史
江美城跡を歩いていると、最初に気になったのがこちらの「くぼみ」です。
ここにぽっかりとくぼんだ場所がありますけど、これは何ですか?
ここは枡形(ますがた)と言いまして、兵士をここに追い込んで、上から攻撃したり石を投げたりして、襲うんですよね。
たしかに私たちがいる本丸の高さよりもかなり低くて、攻撃しやすそうに感じますね。
続いてやってきたのは、江美城跡で一番高い場所にある「本丸跡」です。この日は雲がかかっていましたが、ここからは大山の南壁を眺めることもできます。
ここに天守台があったと言われていて、「野面(のづら)積み」という、昔の積み方の石垣が残っているようです。
年代も感じますし、大きさの迫力にもびっくりしますね
さらにこんなものも・・・。
これは一応、井戸と言われているんですけど、いろいろ諸説がありまして…。
史跡には、まだまだわかっていない謎も多く残っています。
あの秀吉が?金箔(ぱく)瓦 発掘
本丸跡では、貴重な出土品も見つかっています。天守側近くの私有地の畑からは、山陰で唯一「金箔瓦」が発掘されたという記録が残されているそうです。
こちらが発掘された「金箔瓦片」です。江美城跡にある、天守閣の形をした江府町歴史民俗資料館に展示されています。
簡単な質問になりますけど、この金箔がついている瓦が見つかるってことは、すごいことなんですか?
豊臣秀吉の力を示す金箔瓦だったんではないかと言われています。
当時豊臣秀吉の許可がなければ金箔瓦はあげられなかったという説があるからです。(諸説あります)
≪豊臣政権で重要な城に用いられたことを示す≫という説もある金箔瓦が発掘されたことは、江美城跡が再注目されるきっかけにもなりました。
エビ城で堪能! ご当地グルメ
城跡の近くでは、“エビ”城にまつわるこんなグルメも。
大きなエビが目を引く「江美城ラーメン」です。全部で3種類のエビが使われています。
いただきます!ああ…おいしい。見た目のインパクト以上にエビがぎっしり詰まっています。江尾という地区で、エビのうまみたっぷりいただきました
伝統の夏祭り「江尾十七夜」
川上さんと最後に訪れたのが、西ノ丸跡です。
ちょうど真正面に見える山に、8月17日の夜には火文字がつきます。
毎年8月17日に行われる伝統の夏祭りが、「江尾十七夜(えびじゅうしちや)」です。
五穀豊じょうや住民へのねぎらいを込めて始まったとされていて、初代城主の時代からおよそ500年続いています。
祭りのメイン「こだいぢ踊り」は県の無形民俗文化財にも指定されています。ことしは、城跡近くの保育園の園児たちが、毎日練習した太鼓の演奏も披露する予定です。
「江美城を探る会」代表 川上淑子さん
江美城は小さなお城ですけど、たくさん遺跡がまだまだ見れますし、ガイドもいたしますので、遠くからでも見に来ていただきたい。江尾十七夜も「どんなものかな?」と、ぜひ見に来ていただけるとうれしいです。
みなさんもこの夏、歴史のロマンを感じる旅に出かけてみてはいかがでしょうか?
江美城ガイド(要予約・土日のみ)
江府町観光協会
電話番号(0859)75-6007
鳥取の魅力を再発見する企画「とっとりとりっぷ」、これまで3回にわたってお伝えした鳥山アナウンサーですが、ことしの夏で鳥取放送局を異動となるため、今回が最後の旅になります。今後は広島放送局で活躍する予定です。なお「とっとりとりっぷ」では、引き続き旅先を募集しています。「ここを紹介したい!」「この場所が気になる!」という方は、ぜひNHK鳥取放送局までお寄せください。
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